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ネオニコチノイド系農薬について。健康への影響は?

ネオニコチノイド系農薬とは?

ネオニコチノイド系農薬とは、新しい(ネオ)、ニコチンと同様の(ニコチノイド)化学構造を持つ農薬のことです。

特徴は無味無臭無色で①浸透性、②残効性、③神経毒性です。

①浸透性

水溶性で葉や茎から直接吸収されるほか、土壌に撒かれても根から吸収されて植物の内部までいきわたります。このため洗っても落とすことはできません。

⓶残効性

効果が長く続く残効性にも優れています。このため農薬の使用回数を減らすなどの省力化もメリットがあります。

③神経毒性

虫が体内に取り込むと神経伝達が混乱し、低濃度でも全身でマヒや弛緩が起こり、摂食・交尾・産卵ができなくなってなって生育不良から死に至ります。

 

上記特徴、効果の高さから日本では今世紀になってからネオニコチノイド系農薬の生産と使用が急増し2007年頃にピークに達し、その後横ばいで推移しています。

 

ネオニコチノイド系農薬の問題点

世界で起きたミツバチの大量死

1990年年代にヨーロッパ諸国で、蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)=CCDと呼ばれるミツバチの大量死が報告されました。その原因として地球温暖化によるダニなど害虫の増加、蜜源となる花の減少、ウィルス感染などあげられてきましたが、それらの中で直接的な原因として、ネオニコチノイド系農薬があげられました。

世界一流の科学雑誌『ネイチャー』や『サイエンス』でも、ミツバチ大量死とネオニコチノイド系農薬を結びつける証拠が発表されています。

 

りんごも含め農産物の多くはミツバチなど受粉昆虫が花粉を運ぶことで受粉し、実をつけできています。農産物を栽培するうえで、受粉昆虫の減少は致命的と言えます。

 

日本でも広がるミツバチの大量死

ヨーロッパ諸国での事例と同様に日本でも2000年以降、ミツバチの大量死が報告されています。

2013~2015年の3年で農林水産省は農薬が原因とされるミツバチ大量死の状況調査を行い、ミツバチの大量死の時期がネオニコチノイド系農薬が使用されるカメムシ防除と重なることを認めています。

 

人体への影響は?

ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経系で重要な働きをしているアセチルコリンという物質の正常な働きを攪乱します。この神経毒性により虫の生育不良を起こし、防除しているのですが、このアセチルコリンを働かせる神経系の仕組みは人も同様です。ネオニコチノイド系農薬の哺乳類アセチルコリン受容体への結合性は、昆虫類に比べ弱いとされていますが、肝心のヒト受容体を介した神経毒性は十分強いことが証明されています。虫が死ぬような濃度で人が死ぬようなことはないですが、人でニコチン様同様の中毒例も報告されているようです。

またアセチルコリンは脳の発達のための遺伝子の働きを調節するという重要な役割を演じているため、ネオニコチノイド系農薬が作用することで、脳の一部の神経回路が正常に発達せず、近年増加する発達障害の一因になるとも考えられています。

 

 

ネオニコチノイド系農薬への世界各国の対応

EU

2013年にイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの3成分のネオニコチノイド系農薬の暫定的使用中止から、全面排除に向けて現在も段階的に規制を強めている。

 

アメリカ

2015年にイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランの4成分の新規登録を凍結する。

 

韓国

EUに準拠し、2014年から主要3成分の使用禁止。

 

日本

規制はなし、2015年頃から残留基準値を緩和する。

 

ネオニコチノイド系農薬への各国の対応は様々です。世界的に規制を強めている中にあって、日本は残留基準値を緩和して対応を問われています。

農林水産省は、日本でネオニコチノイド系農薬を規制しない理由として、EUと日本では農薬の使用方法、気候が異なると説明しています。

 

りんご栽培におけるネオニコチノイド系農薬不使用。

当農園での考え方

国の基準においてはネオニコチノイド系農薬は残留基準値内であれば人体に問題がないとされていますが、本当に無害であると言い切れるのでしょうか。

この点については日本のみならず全世界で、まだまだ議論がされているところです。我が家には3人息子がいます。そしてりんごの季節には毎日のようにりんごを食べています。私は一人の生産者としても一人の親としても、少しでも安全なりんごを食べてほしいとの思いから、ネオニコチノイド系農薬を使わないことを栽培の基準としています。

 

栽培上の課題と対策

ネオニコチノイド系農薬は残効が長く、殺虫効果も高い農薬です。こうした薬剤の使用をやめることは、栽培上では品質的に少なからずリスクを負うことになります。

例えばネオニコチノイド系農薬が良く効く害虫にリンゴワタムシがいますが、ネオニコチノイド系農薬を使用しないことで、リンゴワタムシがどうしても多くなってしまうことがあります。リンゴワタムシは発生すると、葉やりんごの果実に綿?のような白い付着物をつけて汚してしまいます。このため出荷する際にりんごを1つずつ付着物をふき取る必要が発生し、これにはかなり労力がかかります。リンゴワタムシは風通しの悪いところに発生しやすいので、少しでも発生を抑えるために、枝や葉が込み合わないような剪定を心がけています。農薬に頼らない対策は他にもあります。まずは樹体を健康に保つこと。これには剪定から施肥、適正着果など様々な作業が影響します。また、交信攪乱フェロモン剤(コンフューザー)というものを園地に設置して害虫の交尾を阻害する方法、対象の害虫に対する土着の天敵を利用する方法もあります。当然園地を常に観察しながら虫の発生状況をいち早く見つけて、都度駆除していくことも重要です。こうした手段を複合的に組み合わせながら、当農園ではネオニコチノイド系農薬の不使用に対応していきます。

 

リンゴワタムシ
リンゴワタムシの被害果

 

(参考文献)

知らずに食べていませんか?ネオニコチノイド(水野玲子編著)

ミツバチ大量死は警告する(岡田幹治著)

果樹の病害虫防除(田代暢哉著)

 

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