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りんごを長く保存するには?エチレンガスについて知る。

りんごを長く保存するには?

りんごをおいしく保存するためには、保存場所の湿度、酸素量、二酸化炭素量、温度を管理することが必要です。

りんごは収穫後も呼吸しています。酸素を吸って、二酸化炭素・水分・熱、そしてエチレンガスを吐き出しています。

この呼吸が増えることで、成熟が進み食感・味・みずみずしさが変化していきます。いわゆるりんごが「ボケ」ていくなんて風にも言っています。

先ほどの保存場所の環境を少し気を付けるだけで、りんごの呼吸量を減らしながら、おいしさを保つことができるのです。

 

ポイント1 温度

りんごの保存に最適な温度は0℃~5℃。

冷蔵庫に入れるのがベスト。冬場なら冷蔵庫以外でも直射日光の当たらないような、涼しいところでもOK。

逆に夏場などは常温で保管するといっきにボケてきますので、注意して下さい。

 

ポイント2 湿度

りんごの保存に最適な湿度は85%~90%。

手間はかかりますが、新聞紙で1個ずつくるんでポリ袋に入れるのが良いです。

これによりりんごから出た水分を新聞紙が吸って、ポリ袋内の湿度を調整してくれます。

またポリ袋に入れることは、りんごから出てくるエチレンガスで、一緒に保管している野菜や果物の成熟が進んで、鮮度が落ちることも防止してくれます。

 

まとめると、

「1個ずつ新聞紙で包んでポリ袋に入れた状態で、冷蔵庫に入れる。」

 

冷蔵庫保存

このひと手間で、劇的にりんごの鮮度が保てますので、是非試してみて下さい。

 

 

品種ごとの保存期間

基本的には遅い時期に収穫するりんごほど長く保存できる傾向があります。

当園地で栽培している品種の例でいくと、

 

早生種(収穫時期:8月中旬~9月中旬) つがる、ブラムリー

中生種(収穫時期:9月下旬~10月下旬) シナノスイート、ジョナゴールド

晩生種(収穫時期:11月上旬~12月上旬) サンふじ、シナノゴールド、ムーンルージュ

 

新鮮なりんご

 

但し、お客様の家に届いた時点で、収穫からどのくらい経っているか、またどのような環境で保存をするかで、

保存できる期間が大きく変わります。またりんごの味、食感の好みも影響し、硬いしゃっきりしたりんごがお好みであれば、できるだけ早くお召し上がりになることをお勧めします。

そのあたりを踏まえ大まか言うと、

 

早生種 お届け後、冷蔵保存で、できるだけ早めにお召上がり下さい。

中生種 冷蔵保存で、2~3週間。

晩生種 冷蔵保存(もしくは、低温環境)で、3~4週間。

※あくまで目安です。

 

実は保存には向かない「蜜入り」りんご・・内部褐変

サンふじ保存が効く品種ですが、そのサンふじの中でいわゆる「蜜入り」りんごはどちらかというと保存に向きません。

皆さんが好む「蜜」というのは、ソルビトールという水分がりんごの果肉に溶け出した状態なのですが(したがって実際の蜜部分は甘くなない!?)、このソルビトールが痛みやすく、傷むと茶色く変色します。外国では蜜入りりんごは障害果として敬遠されるほどです。蜜入りりんごは、完熟の証で間違いなくおいしいのですが、どちらかというと早めに食べた方が良いのです。

褐変
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エチレンガスとは?

植物ホルモンの一種で、野菜・果物の成熟に影響します。

先ほども、簡単に記載しましたが、りんごは呼吸・成熟の過程でエチレンガスを放出します。

その放出されたエチレンガスが他の野菜・果物にかかると、その野菜・果物の成熟は進むことになります。

この作用を利用しているのが、輸入品のバナナになります。

植物検疫法で、バナナを黄色い熟した状態で輸入することは禁止されています。

これは熟したバナナには害虫がついていることが多いからのようです。

そこで利用されるのがエチレンガスです。

青い状態で海外から輸入されたバナナに日本で、エチレンガスをかけることによって、いっきに成熟させ黄色いバナナにするのです。このくらいエチレンガスには、成熟を促す作用があるということです。

したがって、あまり成熟させたくない傷みやすい野菜・果物とりんごを一緒に保存する際は注意が必要なのです。

 

バナナ

 

 

その他の鮮度保持法

CA貯蔵

 

貯蔵庫内の大気組成を人工的に変え、冷蔵と組み合わせて、果実など青果物を長期に貯蔵する方法。 青果物は収穫後も生理作用を営んでおり、貯蔵中の呼吸により貯蔵養分が失われ品質が低下するが、酸素濃度を下げると呼吸作用が抑制されるため、品質の劣化が抑制され貯蔵性が増す。「農研機構引用」

 

有袋栽培されたふじは比較的に貯蔵性が良いのですが、このようなふじをCA貯蔵することにより、通常数週間しか日持ちしないりんごが、数か月保存できるようになるのです。この技術によりスーパーなどでは年中りんごが販売されているのです。

当然ですが、このような施設を個人で持っているような農家さんは少なく(いない?)、大規模な流通用の運用施設になります。

 

スマートフレッシュ

1-メチルシクロプロペンという農薬を使った鮮度保持剤になります。特別な施設にりんごを入れて、このスマートフレッシュをかけることにより、通常より数か月単位で鮮度を保持できるようになります。この方法は個人の農家さんでもやられているところもあります。私もスマートフレッシュで処理されたシナノスイートをかなり時期が経ってから食べたことがありますが、まだシャキッとしていて、とてもおいしかったです。今後、りんごの少ない時期に個人農家が流通させる方法として増えていくかもしれません。

 

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